退去した部屋を確認すると壁に穴が。費用は借主に請求できる?
退去された部屋を確認すると、壁に穴が。
壁に穴といっても、画びょうの穴のような小さいものから、家具をぶつける等の不注意によってできた大きな穴まであります。
そこで今回は、借主が開けた穴の原状回復費用は借主に請求できるのかについてご紹介します。
画びょうやピンで開けた穴の場合は?
カレンダーやポスターを画びょうで掲示するといった場合は、通常の生活を過ごす中で発生するものと考えられ、通常の損耗と考えられるとされています。
そのため、壁等への画びょうやピン等の穴で、下地ボードの張替えが不要な程度のものは、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」とされており、借主に修繕の義務は発生せず、修繕費用は貸主の負担となります。
釘やネジで開けた穴の場合は?
釘やネジの穴は、画びょうで開けた穴に比較して穴が深く、範囲も広く、下地ボードを交換を伴うことが多いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いとされています。
そのため、ガイドラインでは、明らかに通常の使用等による結果とはいえない「賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの」とされており、借主に原状回復義務が発生するものとなります。
家具をぶつけたこと等による大きな穴の場合は?
家具をぶつける等、借主の不注意による大きな穴がある場合は、明らかに通常の使用等による結果とはいえないものとして、借主に原状回復義務が発生するものとなります。
壁穴に起因するクロス貼り替えも経過年数の考慮が必要
過去の判例によると、壁ボードの穴に起因する壁クロスの損傷については、少なくとも最小単位の張替えが必要で借主が負担すべきとしています。
そのため、壁穴が発生した1面のみの費用を請求することとなると考えられます。
さらに、クロスは6年で残存価値1円となるよう経過年数等の考慮が必要であるとされているため、入居年数に応じた考慮が必要となります。
【参考】国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」